What's New for Developers in Windows Mobile 6 | Microsoft Docs
「What's New for Developers in Windows Mobile 6」をようやく読み終えました。
個人的に気になった点をメモしておきます。
全体的な印象としては、バージョン 6 としての純粋な新機能はそれほどないです。
そのかわりといってはなんですが、開発環境、特にエミュレータ本体ももちろんのことエミュレーションの周辺ツールが大変充実してきています。
互換性
まずは、Windows Mobile 5.0 との互換性については、'strong' とか 'excellent' と繰り返されいるとおり、かなり互換性高そうです。
筆者の拙作 mabTasks も mabOff もそのままインストール、動作とも問題ありませんでした。ほとんどの WM5 アプリケーションはそのまま問題なく動作しそうです。
Windows Mobile 2003 -> Windows Mobile 5.0 の時には痛い目にあったので、今回のストロング(?)な互換性はうれしい限りです。
OS としての新機能
OS としての新機能はそれほど多くはありません。
WISP, Windows Ink Service for Pen
従来の Ink API の進化形。Tablet PC Inking API の lightweight 版。(日本語の手書き認識がどうなるかは不明。)
.NET Compact Framework 2.0 (SP2) と SQL Server 2005 Compact Edition が ROM 内蔵に。
(同書中ではSP1 となっているが、5/1 SDK で SP2 と言及されている)
CFX が ROM に入っていることによって、インストールが不要とかメモリ容量を圧迫しないとかあるのですが。
「ROM は RAM よりアクセススピードが速いので、結果的に実行スピードが速くなる」との記述には苦笑。
ちなみに、ROM に入っている実行ファイルは RAM にはロードされずに、ROM のままで実行されるので、動作メモリ節約上は大変有利にはなります。
ディスプレイ解像度のフレキシビリティに対応するための API、ライブラリが充実。
WM5 ではサンプルやホワイトペーパーで紹介されていたライブラリが OS 標準に昇格したみたいです。
SCALEX や SCALEY、StretchIcon等。
開発補助ツールの improvement
- Cellular Emulator:電話だけでなくデータ通信もエミュレート
- 9種類のエミュレータイメージ:320x320の Square QVGA もサポート
- Device Emulator:特にコールドブートが格段に速く。
- FakeGPS:GPS エミュレーション
- GPSSettings:同上
- Security Configuration Manager:その名の通り。
- Hopper:キーストロークやスクリーンタップのストレスツール
- CabSignTool:CAB 内の EXE, DLL に一気にサイン可能。
- FakeServer:詳細不明。
- Windows Mobile Test Framework:詳細不明。
FakeServer と Test Framework は、要詳細調査ですね。
CabSignTool は素晴らしいの一言。まぁ、署名する証明書がないですけれど。
Security Configuration Manager は要チェックです。
ウィルス騒ぎを嫌って、US の携帯キャリアのデバイスでは、軒並み証明書無しアプリは動かない設定とか。
これまでエミュレータはノンセキュリティ仕様だったのですが、これで実際のデバイスと同じセキュリティレベルに設定することが可能に。(なるはず。たぶんそのためのツールと理解してます。)
後半は .NET Framwork 礼賛
このドキュメントの後半は、.NET Compact Framework 2.0 の話が中心になります。
CFX 2.0 は WM6 の新機能というわけではなく、WM5 からなので、WM5 マネージド・プログラマの方には釈迦に説法ですね。
ただ、画面解像度のバリエーションが増える中、CFX でのオートマチックな解像度対応機能は、確かに捨てがたいものがあります。
個人的には、なんでもありの自由・無頼好みのネイティブ派ですが、「マネージドもわるくないかも」と思い始めています。(でも、自分が「やりたい!」って思うことは、たいていマネージドでサポートされていないんですよね。^_^;)
LOB を意識?
Line Of Business を意識しているとのこと。
LOB = 企業の業務アプリケーションというところでしょうか?
(掛声だけの感もなくはないですが・・・。)
要は CFX と SQL を内蔵したところがそうらしいです。
業務アプリなら、DB は必須ですし。
リッチクライアント・フロントエンドは、今どきなら VB .NET なのでしょう。
AJAXサポートも LOB の一環みたいです。企業内のWebアプリも ASP から ASP.NET + AJAX サポートに持っていきたいという営業プランなのでしょう。
jmab のまとめ
- Windows Mobile 5.0 アプリはほぼ動きそう。
- エミュレーションツールの充実で、エミュレータを使った開発はさらに楽に。
- 機能的に「これは!」という進歩がなかったのは、ちょっと残念かも。
- AJAX がまともに動けば結構面白いのに、どうなっちゃったの?